No. 4 オークション会社を考える

 今までのお話で、オークションの厳しさがある程度はご理解いただけたかと思います。要するにオークションというのは、一口で言えばギャンブルのようなものです。しかもそのギャンブルは、百戦錬磨のプロから赤子に等しいアマチュアまで一緒に参加します。そしてそこではいろいろな手練手管が使われます。価格操作も行われています。そこでは最初からアマチュアが、あきらかに大きなハンディを負わされる勝負の場なのです。オークションに参加するにあたっては、そのことをくれぐれも念頭においてください。

 て今回はオークション会社について考えてみましょう。オークション会社もさまざまです。価格形成にあたっての信頼性、公平性、規模や形態。主として扱う作品の種類など、オークションの仕方などなど考えてみれば多種多様です。ここでオークション会社のやり方とか、公平性、信頼性などを述べすぎますと、差障りがありますから、ここではどんなオークション会社があるのかという記述にとどめておきましょう。賢明なる読者の皆さんでご判断くださる事を祈ります。 ただ一言、言わせていただきますと、どんな有名なオークション会社でも、程度の差があるだけで営利会社である以上、100パーセント公明正大ではないという事だけは頭に入れておいてください。まして外国のオークションなどは、慣れない日本人などはしばしばオークショナーのカモにされているようです。さてオークション会社にはどのような会社があるのでしょう。まずその形態から考えてみしょう。

1.個人の画廊又は事業家が単独でオークション会社を設立したもの
2.2~数人の美術商等が集まって会社を設立しているもの
3.既に歴史が古く株式会社として公開されているもの等があります。

また個人で設立したオークジョン会社が、外国の会社と提携した形を取っているのもあります。(この場合、提携している会社の信用度が問題となります。)
 売買の仕方としては、オークション会社が前もって品物を自力で買っておき、それをオークションにかけるというやり方と、オークションの度毎に一般 から品物を集めて、それをオークションにかけると言うやり方があります。外国のオークション会社や個人の会社によるネットでのオークション等に、前者の場合がしばしばあります。オークションのやり方も2種類あります。入札方式とセリ方式です。セリは皆さんもテレビ等でご存知のように、その場でせり上がっていく方式です。入札方式はあらかじめ価格を自分で決め、それを入札表に書き込んで主催会社に渡しておく方式です。

 オークション会社はオークションの締め切り期日が来るとそれを開封し、入札価格の一番高い人に落札します。これらのやり方にはそれぞれ一長一短があります。利便性、公平性、信頼性、人為操作の入り込み性の難易度、雰囲気の影響性の大小、意外性の参入の度合い等などの項目を参考にして考えて見てください。最後に、オークション会社は品物の真贋を保証しているものでない事にご注意ください。またその作品の状態については、あらかじめ下見やカタログ等でご自身で確認し、ご自身の責任で買うものだということも知っておいてください。後になって汚れがあったからとか、傷があったからといっても返品やキャンセルは出来ないものと思っていたほうが安全です。贋物の場合、返品は出来ることになっていますが、それが贋物であることの証明は買った方でしなければなりませんから、その交渉はかなり難儀だと思ってください。この点だけから考えれば、信用ある画商で買うほうが安心できるといえましょう。