No. 2 オークションでの売買はプロとの勝負

 最近日本にもいろいろなオークション会社が出来、「オークションで売った方がいいでしょうか?」「オークションで買おうと思うのですが?」と言った相談をよく受けます。しかしそれについてはどちらがお得かということは一概には言えません。貴方が売ろうとしている、あるいは買おうとしている品物がどんなものかによって違ってきますし、またどのオークション会社に参加するかによっても違ってくるからです。例えば誰もが知っているような特に外国作家なら、世界的なオークション会社に出品すれば多分画廊で売られるより高値で落札されるでしょう。

 しかし同じ作品でも、参加者の少ない、あるいは参加する人がそのような高額作品を買う資金 力が乏しい人々の集まる小さなオークションに出品すれば非常に安値でしか売れないと言った事にもなります。 むしろその作品を正当に評価してくれる画廊に持っていき、売った方が得と言うことにもなります。それでは何でも大きなオークション会社に出品すれば良いかというと、その作家の代表作または作品の数が少なく、めったに出てこないような作品は別 として、あまりオークションに出てこない有名人ではない作家の作品とか、有名な作家の作品でも名ばかりの作品の場合は、大きなオークション会社では受け付けてもらえないことも多く、たとえ競りにかけてもらえたとしても、人気が無く競りに参加する人が少なくて、結局不落札か、落札されてもエスティメートより安値と言う事にもなってしまいます。
 それでも引き受けてくれるオークション会社も無い事はないのですが、出品しても偶然その作家の作品のコレクターが参加していない限り超安値でしか落札されないでしょう。そのような場合はむしろ画廊に相談された方が高く売れる可能性が高いのです。何故なら画廊はそのような絵なら、そのような絵として取り扱っている画廊やコレクターの情報に詳しく、お付き合いがあるからです。安易にオークション会社に出品される前に、身近な画廊にまずご相談されることをお勧めいたします。実例として、当画廊のお客様のA氏より、或る著名な日本画家の前作を売りたいとのお申し出があり当画廊としては220万円の金額をご提示しましたところ、A氏には納得されず、某オークション会社に出品されたところ、最低価格とエスティメートが低く抑えられ、結局、当画廊がご提示した金額を下回る価格で落札されたというようなことが最近ありました。

 プロもオークションに参加しては売買しています。その際は決してオークション会社のいいなりではなくどのオークションで売ったほうが得かとか、この作品はどこで買った方が安く買えるか、リザーブ価格はいくらに設定するか。(この価格があまり高いと誰もが初めから競りに参加してくれませんし、低いと今度は安値で落札されてしまう危険性があります)この作品はいくらまでなら競ってもいいかと言う事を真剣に検討を重ね、作戦を立てて臨んでいるのです。そこにプロとアマの違いがあります。貴方がオークションに参加し、有利な売買をしたいと思われるなら、そこからまず勉強される事をお勧めします。尚、オークションの落札価格には一般 的に15%の手数料と消費税が上乗せされます。
 出品される際には作品の保管料、カタログ掲載料など諸費用がかかり、10%の手数料を差し引かれることもお忘れなく。次回は現在のオークションが本当に公平な価格形成ができているかについて考えてみたいと思います。ここもまたプロ達の思惑が交錯する戦いなのです。